現実に生きる我々にとって、調子のいいほうがいいに決まっていますし、そのほうが生きているという実感もわくものです。
ビタミンなどの栄養素は、最適な健康状態に引き上げるために貢献できる可能性があるのです。
私のところに来る人は、以前の調子の悪かった状態から、ただ単に元に戻るのではなく、より調子のいい状態になっています。
そのことはゲルソン療法など厳しい食事・栄養療法で末期がんを克服した人たちにもいえる場合もあります。
がんが骨に転移してもろくなり骨折したため金属の棒を入れて固定していた末期がんの人が、その骨折していた骨が回復していく過程で、入っていた金属棒をへし折ったという例があるのです。
最適な健康状態を実現するためには、栄養素をやみくもに多く摂ればいいというものでもありません。
物事には、バランスというものが必要です。
ビタミンやミネラルなどの栄養素は、互いに協調して働いています。
あるビタミンだけ突出して摂っても、いいどころか逆に悪いことさえあるのです。
バランスよく適切な量を摂ることで、より快適な健康状態に近づいていくのです。
誤った健康情報に振り回されてはいけない氾濫する情報に振り回されないために、あなたはどこに注目すればいいのかいまや健康番組は、ある程度視聴率を稼げるお茶の間の定番となりました。
毎日実にさまざまな情報が、いろいろな人たちによって流されつづけています。
間違った情報を平気で流していることもあれば、昨日いっていたことと反対のことを臆面もなく紹介していることもあります。
いちいち真に受けていたら、膨大な数の食べ物や栄養素をひっきりなしに、摂りつづけなければなりません。
明らかに食べすぎ、カロリーの摂りすぎで、かえって病気になってしまいます。
しかし日本人には、どうも熱しやすくて冷めやすい人が多いようで、ココアや赤ワインが品切れで大騒ぎしていたかと思うと、しばらくすると見向きもしなくなってしまいます。
そしてまた新しいものに飛びついていきます。
その繰り返しのことが多いようです。
食事や栄養は、生まれてから死ぬまで毎日摂りつづけなければならないものです。
ブームはなぜ終わるのかといえば、単品だけを取り上げているからです。
単品はただ1種類の食べ物や晴好品、あるいは栄養素に過ぎません。
それだけで生きてはいけないし、いつやめても大勢に影響はありません。
食事や栄養に関する知識は、もっと生活に密着した知恵にならなければなりません。
知恵というのは、情報や知識を利用する力です。
ここでは、情報をどう見てどう判断すればいいのかについて理解してください。
実験結果とそ効果は全く別のものまず覚えておくと非常に便利なのが、実験結果そのものと、その結果をどう評価し実際にどう利用するのかとは全く別のことだということです。
テレビや雑誌でよくあるのが、こういう実験結果が出たからこうしましょうというタイプの情報です。
実験結果自体は、研究者でもない一般の人が踏み込んで、その実験方法や統計のとり方などを云々するのはむつかしいでしょうが、その結果の解釈と利用については、実験結果とは全く別のものなのです。
その解釈と利用について、司会者や記者が行っていることが多いのですが、ここに大きな間違いがあります。
皆さんは、実験結果そのものとその解釈とは分けて考えるようにしてください。
テレビ番組の実験は意味がないテレビ番組ではよく、ある食べ物を食べる前と食べた後で、例えば血液がサラサラになったかどうかを確かめるような実験をします。
そして、ほらこのとおり、サラサラになりました、といった実験結果を紹介します。
しかし実験に参加している人数はわずか数人で、しかも最大の問題はプラセボ(偽薬、ニセ薬)の人がいないことです。
全員が何を食べているのか知っているのです。
これではその食べ物の効果を確かめる実験自体成り立ちません。
人間の心理効果は、2割から4割くらいあるので、誰が何を食べているのか分からないようにしたうえで、プラセボを食べたコントロール・グループの結果と比較しないと、その食べ物の効果なのか思い込みによるものなのかは分からないのです。
何もたかがテレビ番組にそこまで文句をつけなくとも、と思われるかもしれませんが、実験をして科学的な装いをしている限り、また一般に対する影響力の大きさから考えると、最低限のルールは守ってほしいのです。
最初から結論を用意していて、その結論をもっともらしく見せるためだけの実験などする意味は全くありませんし、それを一般の人に見せるなんてことはもってのほかなのです。
よくある健康情報の落とし穴よくあるのが、効果のあった実験や研究を持ってきて、だからこのサプリメントを摂りましょうというものです。
注意してほしいのは、そのサプリメントを摂って出た結果かどうかです。
疫学調査であれば、天然の食べ物を食べていて出た効果です。
だからといって合成の単品のサプリメントを摂る理由にはなりません。
後で見るベータカロチンの例にあるように、かえって害になるかもしれないのです。
試験管の中の実験であれば、その結果が人間に当てはまるとは限りません。
人聞が何かを食べて得られた効果というものは、消化活動を経て、栄養素が体の各組織や細胞に運ばれて、その運ばれた場所で本来の働きをするかどうかで測られなければ意味がありません。
また食べたものには腸の中にすみついている腸内細菌も関係してきます。
同じ物質でも、口から摂るのと、注射などで投与した場合では効果に違いが出てきますが、腸内細菌はその大きな原因の一つになっています。
ベータカロチンには、免疫を活発にする作用があるのですが、この作用は、口から摂取しないとありません。
口から摂る場合は、腸管を通るので、そこで腸内細菌によって何らかの作用を受けている可能性があるわけです。
注射の場合は、いきなり血液中に物質が入るので、胃腸の消化吸収作用も腸内細菌の作用も受けていません。
ほかに口から摂る場合と注射で投与する場合で効果に明らかな違いの見られるものに漢方薬があります。
また口から摂ったものがすべて体の中に吸収されるとは限りません。
ミネラルの中にはほんの数パーセントしか吸収されないものもあります。
また脂溶性のビタミンEは、脂肪と一緒に摂らないと吸収されません。
動物実験で使われた動物と人間では同じ結果が出るとは限りません。
ビタミンCはほとんどの動物が体内でつくれますが、人間はつくることができません。
また、毎日決まった時間に餌を与えられている動物と人間とが同じ環境にあるとは考えられません。
症例だけの報告(体験談)には注意が必要特に「私はこれを飲んで何らかの病気が治った」という体験談形式の健康情報は、何の科学的根拠も持たないばかりか、その人だけのプラセボ効果(偽薬であっても思い込みで得られる効果)のことが多いものです。
プラセボ効果は、2割から4割くらいまであり、どうしても何らかの効果を科学的に確かめたいときにはその割合を超えなければならないものなのです。
そのために二重盲検法という方法では、調べたいクスリやサプリメントのほかにプラセボという何の効果もないニセ薬を、与えるほうも与えられるほうも誰が何を飲んでいるのか分からないようにして配ります。
実験後に、クスリやサプリメントのグループとプラセボのグループとを比較して、プラセボのグループよりどれくらいクスリやサプリメントのグループのほうに効果があったかを統計学的に判定します。
思い込みという心理効果があまりに大きいために、こうした実験方法がとられているのです。
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